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表面処理技術講座
掲載日:2010年01月29日
第431回 鉄電鋳浴-1
鉄電鋳は、陰極に鉄が電着すると共に発生する水素を吸蔵して水素脆性起こし、そのため電着応力が大きく、展延性が低くて、脆い電鋳となります。また、一般に塩化浴が用いられていますが、鉄の酸化による、槽や設備の汚染など作業環境の悪化のため、あまり好まれません。
鉄電鋳の代わりには、銅電鋳をして、機械的強度を必要とする場合には、その表面にニッケルめっきやクロムめっきを施すことによって、ある程度は補うことができます。しかし、これ以上の強度を求めるときには、ニッケル電鋳が採用されます。しかしニッケルはコストが高いので、印刷工業においては、鉄電鋳が行われています。印刷平板の製造に用いられ、マグネットチャックで容易に取り付けられる利点もあります。
鉄電鋳には、塩化第一鉄浴のほかに、ホウフッ化鉄浴、スルファミン酸鉄浴などがあります。
塩化第一鉄浴は、導電率が高く、高電流密度で作業ができ、強靭で平滑な電着が得られます。しかし、この浴は100℃近い高温で作業しなければならず、作業環境上問題があり、また、引っ掛けの絶縁塗料や、槽のライニングなどは、これに耐えるものが要求されます。
展延性をもった鉄電鋳は、高温、低pH、高電流密度で得られ、硬度の高い鉄電鋳は、浴温が88℃以上、pH1.0、低電流密度で得られます。 塩化第一鉄浴の組成および電解条件を次に示します。
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pHが低く高温のため、pHを維持するために塩酸を連続的に添加する必要があります。また塩化カルシウムの代わりに塩化マンガン(3~5g/L)を用いた浴もありますが、この浴は、高電流密度が使用できます。
高温の塩化第一鉄浴の柔軟性を増し、脆化を防止する添加剤として、塩化マンガンの他に、塩化アルミニウム1.5~2g/L、塩化ベリリウム5g/L、塩化クロム0.01g/L等を添加するとよいといわれています。
この浴は、著しく酸化する傾向があり、多量の不溶性の第二鉄塩が生成します。3g/L以上なると電着面が粗雑になり、物理的機械的性質も低下しますので除去する必要があります。また、水素発生による水素脆性を起こしやすいので、高温にして十分攪拌することも必要です。

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