エンジニアのための技術講座

ローコストオートメーション講座

掲載日:2006年07月14日

カテゴリ : 直動部品

第264回 リニアブシュを使いこなそう−3:シングル・ダブル・ロングと表面処理の使い分け

(1)リニアブシュの軸受長と案内性能

 ミスミのリニアブシュには軸受長さの種類として、[1] シングル、[2] ダブル、[3 ロングの3種と、購入者が独自に設計する [4] (シングル2個使いの専用設計)の合計4種類があります。この軸受長さの違いは、次の案内性能に関係してきます。

a)耐荷重性能
b)案内精度

a)軸受長さと耐荷重性能の関係

 軸受長さが長くなるとベアリング数が多くなるため、各ベアリングの接触点での荷重負荷が小さくなります。
 この効果は[1] 、[2] 、[3] の3種類のリニアブシュ長さに応じて、定格荷重が増大していることから分かります。
 したがって、軸受長の長いリニアブシュの選定は耐荷重性能が向上できます(=寿命が長くなる、信頼度が上がる)(【図1】)。

図1

b)軸受長さと案内精度の関係

 軸受長さが長くなると、次のような案内精度の向上が図れます。

ア)レール(シャフト)の案内誤差を平均化して精度向上させる(平均化効果:注—参照)(【図2】)
イ)レール(シャフト)とのクリアランスによる誤差を縮小して精度向上させる(【図3】)

軸受の平均化効果:直動案内の軸受長を長くしてベアリング数を多くすることで、レール表面の誤差要素(表面粗さの凹凸やうねり)が平均化され、誤差要素の影響が半減以下に抑えられる。

図2

図3

 したがって、軸受長さを長くすることで、耐荷重性能と案内精度を良くすることができます。このため [4] (シングル2個使いの専用設計)で、リニアブシュをある程度高精度な用途に採用する場合があります。(【図4】)

図4

(2)レール(シャフト)のたわみ量算出の解説(【【図5】)

 リニアブシュとシャフトで構成された直動機構の場合のシャフトのたわみ量は、次式で算出できます。

δ=W・a3・b3/3・E・I・L3

  a:支持端から荷重点までの距離
  b:aと反対方向の支持端から荷重点までの距離
  L:シャフトの支持間距離
  E:ヤング率
  I:シャフトの断面二次モーメント
  I=π・d4/64≒0.05d4
  d:シャフトの半径

 a=b=L/2の時は、δ=W・L3/0.96・E・d4
 となることから
 シャフトのたわみ量を少なくするには、シャフト径を太くする(4乗で効く)、シャフト支持間距離を短くする(3乗で効く)設計をすることです。

図5

(3)構成材料および表面処理の特徴と用途例

 リニアブシュの構成材料、表面処理と用途例は次表となります。

外筒材料表面処理保持器材料ボール材料用途例
SUJ2-樹脂/SUS440C相当SUJ2耐摩耗性を要する一般的なしゅう動案内
SUJ2低温黒色クロム同上SUS440C相当反射を嫌う光学機器部品用
クリーンルーム用
高精度移動用
SUJ2無電解Ni-P同上同上クリーンルーム用
耐薬品性を要するしゅう動部
耐摩耗性を要するしゅう動部
SUS440相当-同上同上軽荷重負荷のクリーンルーム用や食品・医療関連機材用

表面処理の特性比較
外筒材料表面処理特徴
SUJ2-・SUJ2の素材は鋼材のため錆を生じる
同上低温黒色クロム・摩擦係数が小さく耐摩耗性に優れる
・薄い均一皮膜が形成できる
・メッキ色が黒色のため光を反射させない、熱吸収性がよい特性を持つ
同上無電解Ni-P・耐薬品性/耐食性に優れるためクリーンルーム用途などに採用される
・硬いメッキ膜で光沢を持つ
・非磁性の皮膜

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