エンジニアのための技術講座

プラ金型講座

掲載日:2001年08月21日

カテゴリ : 技術トピックス

第53回 生産システムにおけるシナジー効果

 生産システムは、物や情報を生産する一連のしくみのことです。私たちが関連している分野では、プラスチック射出成形品の生産システムが、身近な代表例の1つです。
 生産システムは、2個以上のシステム構成要素が相互に関連しあいながら、物(有形)や情報(無形)を生み出すシステムです。(システム「system」は、日本語では「系」、「体系」と訳されています)

 システムの全体を最適化するためには、シナジー効果(synergy effect)が必要なのですが、以外と知られていない場合が多いようです。
 システムにおけるシナジー効果とは、「システム全体を最適にするためには、システムを構成する個々の要素全てをそれぞれ最適化しても実現されない」という事です。
 つまり、「部分最適を積み重ねても、全体は必ずしも最適にはならない」という事です。

 例えば、プラスチック射出成形品生産システムを考えた場合、「成形品の生産コストを最小化する」というテーマを実現するためには、下記のようなアイデアが考えられます。

■アイデア1

 成形材料を安価な輸入品を使用する。金型は開発途上国製の安価な金型を購入する。金型の取り個数をできるだけ多くする。品質検査は抜き取り調査をパート人員により目視で実施する。

■アイデア2

 成形材料は、安価な輸入品を使用するが、金型は日本製の精密金型を購入する。金型の取り数は、成形条件が安定しやすい数に限定する。品質検査は、センサーにより全数自動検査を行い、安価な成形材料を使う危険性を保証する。

 アイデア1は、各要素のコストが最小限となるような選択を集合させたアイデアです。みかけ上は、コストは最小化されますが、安価な材料を使用した結果、品質不良が発生する危険性が高くなり、無闇に金型の取り個数を増やせば品質ばらつきも大きくなります。抜き取りによる目視検査では、不良が混入する危険性も高くなります。
 結果的には不良を発生してしまうとその対応にかかるコストによって、トータルコストは高くなってしまう確率が高い生産システムであるという評価がなされます。

 アイデア2は、日本製の精密金型を購入するので、金型コストは最小化される訳ではありません。センサーを使用した検査システムを構築するのには新たな投資が必要なので、これもコストを高くしてしまいます。
 ところが、良い金型を使用して、取り個数も大きくしないので、安価な材料を使用するリスクを軽減させることができます。また、全数検査をセンサーで行うので、不良の流出を極めて高い確率で防止できます。その結果、不良対策のコストは0に近ずけることができます。つまり総合的には、トータルコストを最小化することができる可能性が高い生産システムであるという評価がなされます。

 システムにおけるシナジー効果を考えれば、全体システムを最適化するためには、あえて部分不最適な要素がある方が逆に全体を最適化できるということに通じます。

 精密金型の構造でも、全ての部品を寸法公差を厳しく製作しておけば、かじりにくく、長寿命の精密金型ができるとは限りません。逆に部品の一部に逃げや大きなクリアランスを故意に設けることによって自然に部品相互の位置決めがなされ、結果的には組み立てやすくしかも長寿命の金型になるという事は経験的に知られています。

 全体のパフォーマンスを最適にするためには、どの構成要素を伸ばし、どの構成要素はあえて最適化しないといった、全体のバランスを配慮することが大切です。



紙図も型番も要らない3Dダイレクト調達 meviy【メヴィー】

このサイトは、株式会社ミスミが運営・管理しています。

当サイト上のコンテンツの著作権は株式会社ミスミに帰属します。
無断利用・転載を発見した場合は、法的措置を取らせていただくことがあります。

ミスミのeカタログ

メカニカル部品 | ねじ・ボルト・座金・ナット | 工業用素材 | 配線部品 | 制御部品・PC部品
切削工具 | 生産加工用品 | 梱包・物流保管用品 | 安全保護・環境衛生・オフィス用品 | 研究開発・クリーンルーム用品
プレス金型部品 | プラ型用部品

ご利用にあたって  会社概要

ページトップに戻る