エンジニアのための技術講座

プラ金型講座

掲載日:2002年04月09日

カテゴリ : キャビティ

第83回 金型部品の経時変化

 炭素鋼や合金工具鋼を使って熱処理をした金型部品が、金型を実際に射出成形でしばらく使用した後で、そりが生じていたり、変形したり、寸法が微妙にプラスしている現象に遭遇することがあります。
 このように、時間が経過した後で寸法に狂いが出る現象の事を「経時変化」または「時効(じこう)、aging」と呼んでいます。

 炭素鋼や合金工具鋼で発生する経時変化の主な原因は、焼き入れ時に残存しているオーステナイト組織が、マルテンサイト組織に変化する際に体積膨張するためであることが知られています。

 焼き入れは、焼き入れ温度(800℃程度、鋼種により様々)から急冷をすることにより、オーステナイト組織をマルテンサイト組織に変態させる工程です。
 急冷は、水や油、塩浴槽などで行われますが、温度が0℃以下ですとマルテンサイト化が促進されますが、そうでない場合には、オーステナイト組織が微量にマルテンサイト組織の中に残存してしまいます。このようにして残存したものを「残留オーステナイト」と呼んでいます。
 残留オーステナイトは、前述したように時間の経過にしたがって徐々にマルテンサイトに変化をしてゆくことがわかっており、その際に体積が膨張します。したがって、残留オーステナイトの量が多いほど、経時変化が大きくなる傾向があると考えて良いでしょう。

 残留オーステナイトを減らすためには、-80℃ぐらいまでフレオン等(フレオンは環境保護上、推奨はできません)の冷媒により低温環境を作り、そこへ急冷を行う「深冷処理(サブゼロ処理)、subzero cooling」が効果的です。
 液体酸素や液体窒素を使えば、-180〜-190℃ぐらいまでは可能ですが、コストがかるために特殊な場合にのみ使用されています。

 したがって、経時変化を嫌う部品の場合には、サブゼロ処理が推奨されます。
 しかしながら、サブゼロ処理した鋼材は、残留オーステナイトは少なくなっておりますが同時に硬度も上がり、内部ひずみも大きくなっていますから、適度な焼き戻し処理が必要です。(焼き戻し条件は、鋼種により推奨値があります)



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