エンジニアのための技術講座

プラ金型講座

掲載日:2005年02月10日

カテゴリ : コスト

第206回 キャビティ表面温度が高いプラスチック用の金型技術

 エンジニアリング・プラスチック(エンプラ)やスーパー・エンプラの中には、キャビティの表面温度が100℃を超える種類の樹脂が増えてきています。
 キャビティの表面温度が90℃ぐらいを超えてしまいますと、水(お湯)による温度調節では通常、昇温が困難になります。
 一般には、下記の手段が採用されます。

(1)油温度調節

 油による温度調節は、型板やキャビティに設けられた流路に、循環ポンプから吐出された油が、ジョイントホース経由にて循環することにより、温度を一定に保ちます。一旦、設定温度まで温度が上がってしまいますと、比較的安定した温度維持が可能です。
 しかし、温度の立ち上がりには時間を必要とする短所があります。
 また、油の取扱いは、やけどの危険性があり、さらに油の後処理が面倒であるといった点も懸念されます。

(2)電気ヒーター

 電気ヒーター(カートリッジヒーター)による温度調節は、温度センサー(熱電対等)と併用することにより、温度を一定に保ちます。熱容量が大きいので温度の立ち上がりが早い利点があります。
 しかし、ヒーター周辺の温度は高く、ヒーターから離れた場所では温度が低くなり、温度分布を均一に保つことが困難になります。
 また、ヒーターは、寿命がありますので、定期的に交換が必要になります。
 ヒーターの取り付けは、取り付け孔とのクリアランスが重要になります。クリアランスが大きすぎますと、ヒーターが空焚き状態になり、寿命を縮めてしまいます。
 ミスミ M-HTM3021(カートリッジヒータ用金型温度調節コントローラ)は、PID制御方式でヒーターの温度調節が可能ですので、オン−オフ制御形式のコントローラーよりも極めて安定した温度制御が可能になります。
 温度制御をより正確に行うためには、射出成形機のプラテンと金型の取付板の間に、断熱板を取り付けることを勧めます。または、型板の周囲にも断熱板を取り付けることもあります。

【表】キャビティ表面温度が高い成形材料の例
プラスチック名キャビティ表面温度(℃)
PPSガラス繊維30%
(ポリフェニレンサルファイド)
130〜150
LCPガラス40%
(液晶ポリマー)
70〜110
PET
(ポリエチレンテレフタレート)
130〜150
PA46
(ポリアミド/46ナイロン)
80〜120
PC
(ポリカーボネート)
80〜120
耐熱PLA
(耐熱ポリ乳酸)
110〜120
PEEK
(ポリエーテルエーテルケトン)
120〜160
PI(ポリイミド)170〜200

 PPS樹脂や液晶ポリマー用の射出成形金型では、キャビティ表面温度を100℃以上に保つ必要がありますので、油による温度調節やカートリッジヒーターによる温度調節が必要になります。
 市場で普及しているカートリッジヒーターの温度調節方法は、電源のオン−オフによって制御する「ON-OFF制御」が多用されています。
 「ON-OFF制御」は、簡単なスイッチ切り替え装置で構成されているため、比較的コントローラーの価格は安価ですが、キャビティ表面温度の変化が大きく、安定しにくい弱点を持っていました。
 キャビティ表面温度が不安定ですと、精密な成形品では収縮状況や寸法、表面の光沢などがばらつく原因となります。

 そこで、キャビティ表面温度をできるだけ安定させるためには「PID制御」が推奨されます。
 PID制御とは、
  比例(Proportional)
  積分(Integal)
  微分(Derivative)
 を応用し、温度が安定するまでの時間を短縮できる制御方式です。

 ミスミ「カートリッジヒーター用金型温度調節コントローラ」は、PID制御を採用し、さらにSSR(半導体リレー)を組み合わせることによりさらに設定温度に対する精度を改善しています。

 カートリッジヒーターは、最大負荷として「三相交流 200V」で10kWまで対応が可能です。
 従いまして使用例としては、「三相交流 200V 1kW」のヒーターを2本づつ、可動側型板と固定側形板にそれぞれ組み込んで、PID制御により安定したキャビティ表面温度の制御を行うことができます。

『カートリッジヒータ用金型温度調節コントローラ』カタログを見る 『金型温度調節コントローラ』概要を見る

 断熱板は、射出成形金型の温度を安定化させたり、保温のための省エネルギーを実現するために重要な部品です。エンプラやスーパーエンプラの射出成形では必須の部品として利用されております。
 ミスミでは、断熱板を商品ラインナップとして取り扱っておりますが、その用途によって選定をして頂いております。

 断熱板の使用方法は、一般に
  1.射出成形機のプラテンに固定して使用する場合
  2.金型の取付板の後ろに固定して使用する場合
 の2通りがあります。

 断熱板の選定基準としては、以下の項目があります。

1.耐熱温度

 目安として、下記の推奨使用温度が挙げられます。

推奨使用温度 100℃以下
推奨使用温度 180℃以下
推奨使用温度 220℃以下
推奨使用温度 400℃以下
推奨使用温度 500℃以下

2.材質

 使用推奨温度と圧縮強さに関係するのが材質です。
 材質は、下記のような種類があります。

綿布+フェノール樹脂(ベークライト)
クラフト紙+フェノール樹脂(ベークライト)
ガラス繊維+けい酸塩バインダー
ガラス繊維+超耐熱エポキシ樹脂
ガラス繊維+りん酸塩系バインダー
ガラス繊維+ほう酸塩系バインダー

 アスベスト(石綿)は、健康に害があると考えられておりますので、ミスミでは取り扱っておりません。

図



紙図も型番も要らない3Dダイレクト調達 meviy【メヴィー】

このサイトは、株式会社ミスミが運営・管理しています。

当サイト上のコンテンツの著作権は株式会社ミスミに帰属します。
無断利用・転載を発見した場合は、法的措置を取らせていただくことがあります。

ミスミのeカタログ

メカニカル部品 | ねじ・ボルト・座金・ナット | 工業用素材 | 配線部品 | 制御部品・PC部品
切削工具 | 生産加工用品 | 梱包・物流保管用品 | 安全保護・環境衛生・オフィス用品 | 研究開発・クリーンルーム用品
プレス金型部品 | プラ型用部品

ご利用にあたって  会社概要

ページトップに戻る