エンジニアのための技術講座

プラ金型講座

掲載日:2010年05月14日

カテゴリ : 成形技術

第458回 植物由来・生分解性プラスチック-ポリ乳酸樹脂(その1)

 ポリ乳酸(Poly Lactic Acid, PLA)は、原材料を100%植物とする熱可塑性プラスチックで、射出成形加工や押し出し成形加工、ブロー成形加工が可能です。しかも、石油や化石系素材を一切使用しないで合成ができるプラスチックです。さらに、このプラスチックは、土中に廃棄すると、土中の微生物(バクテリア群)によって、それらが発する酵素によって水(H2O)と二酸化炭素(CO2)だけに完全生分解する優れた環境特性を持っています。

 この樹脂は、10年以上前に既にその存在は確認されていましたが、工業的に大量生産する方法が確立されず、量産成形品に仕様されることはほとんどありませんでした。しかし、アメリカ合衆国のダウケミカル社とカーギル社の合弁企業であるカーギル・ダウ社がポリ乳酸の大量生産方法の開発に成功し、市販されるようになりました。現在は、同社は社名をNatureworks社と改称して事業を発展させています。

 ポリ乳酸樹脂は、上述のように原材料は、植物由来です。現在は、でんぷん(スターチ)または糖(グルコース)を使用しています。つまり、とうもろこしや芋類、さとうきび、さとう大根などが原材料になります。でんぷんを素材とする場合、でんぷんに水を加えると加水分解という反応がおこり、ブドウ糖(グルコース)に化学変化します。ごはん(でんぷん)を噛んでいるとだんだん甘くなる反応と基本的に同じ反応です。

 次に、ブドウ糖に乳酸菌を加えます。乳酸菌は、その微生物の働きによって糖を乳酸(Lactic Acid)に化学変化させる能力を持っています。乳酸は、人体の体内でも自然に合成される成分で、筋肉内に蓄積すると肩こりなどの原因となることが知られています。

 次に、乳酸から脱水反応という処理をしますと、乳酸は、ラクチドという物質に変化させることができます。ラクチドには、L-ラクチドとD-ラクチドという2種類が存在し、ほとんどはL-ラクチドになります。乳酸菌の種類によってLとなるかDとなるかは決まりますが、Dを生産することができる菌はまだあまり見出されていません。

次に、ラクチドを開環重合という処理をしますと、ここでポリ乳酸というプラスチックを得ることができます。

 ポリ乳酸は、高分子であり、熱可塑性です。したがいまして、加温すると溶けて、冷却すると固化します。ガラス転移温度は57℃近傍です。つまり、射出成形等を行って金型を使って大量生産が可能だということです。

 通常のポリ乳酸樹脂の射出成形は、金型温度を30~40℃程度に設定して、射出成形が可能です。ある程度の経験を踏めば金型の設計も可能です。しかし、成形品は、耐熱温度が60℃付近であり、機械強度もそれほど強くないので成形品としての用途はこれらの条件を満たすものに限定されます。透明グレードもあります。

 様々な企業で研究をした結果、耐熱120℃級のポリ乳酸も販売されるようになってきました。これらのグレードでは、金型設計では流動性が悪く、離型が極度に悪く、また冷却時間が長くなりますので留意が必要です。耐熱グレードの登場によりポリ乳酸の適用範囲は大きく広がりました。様々な分野で応用製品の検討が始まっています。



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