エンジニアのための技術講座

プレス金型講座

掲載日:2002年04月30日

カテゴリ : 金型設計

第86回 標準部品の使い方(その7)コイルスプリング(1)

 金型でスプリングに期待するものは、【図1】に示すように荷重とたわみです。金型に使われるリフターピンを支えるコイルスプリング(以下スプリング)では、それほど荷重は必要でなく、たわみ量が求められます。可動ストリッパでは、主に荷重が求められます。ときには、荷重とたわみの両方が必要なときもあります。 図1

 スプリングに求める内容は多岐にわたっています。そのような要求をみたすべく、大きなたわみが得られるもの、非常に強い力が得られるもの、その中間に、いろいろなばね常数(スプリングでは、1mmたわませることで得られる力を、ばね係数と呼びます)のスプリングが作られています。金型製作にとっては大変に便利になっています。しかし、荷重とたわみは反比例の関係にあり、荷重とたわみの両方を満足させることが難しいこともあります。

 【図2】は、使い方での注意です。

図2

 スプリングは【図2】(a)に示すような倒れがあると、スプリング外周と穴側面とがこすれあい、スプリングの寿命を縮めます。倒れの原因には、スプリングの端面処理が悪いときと、スプリングの入る穴の座面がよくない場合があります。ドリルであけたままの穴ではスプリングは傾きやすくなります。【図2】(b)は圧縮されると曲がってしまう現象です。自由長の長いスプリングにでやすい不具合です。傾きと同じようにスプリングの寿命を悪くします。

 【図3】は、圧縮使用でのスプリングの基本的な使い方を説明しているものです。

図3

 たわませる前の状態のスプリングの長さを自由長といいます。(【図3】(a))。スプリングは自由長のまま使うことはしません。少なくとも1〜2mm圧縮します。
 所定の荷重が欲しいときには、ばね常数との関係からたわみ量を求め、たわみ量分、自由長から圧縮します。この量を「初期たわみ」と呼びます。(【図3】(b))。
 初期たわみによって得られた荷重で材料を押さえ、抜きや曲げ等の加工をします。抜き加工や曲げ加工によってさらにスプリングは圧縮され、【図3】(c)の状態となります。このときのたわみ量を「仕事たわみ」と呼ぶことにします。
 初期撓みと仕事たわみの合計が「総たわみ」です。総たわみの最大は【図3】(d)に示すスプリングが密着した状態のときのたわみです。スプリングが密着すると、スプリング材料そのものに圧縮力がかかり、極端にスプリング寿命を短くします。したがって、このような使い方は通常はしません。密着しないまでも、たわみ量が自由長の30%を越えると寿命は短くなります。通常は20%くらいの総たわみ量で使うことがスプリング寿命にはよいです。



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