エンジニアのための技術講座

プレス金型講座

掲載日:2003年10月07日

カテゴリ : 金型材料

第154回 金型用鋼材のいろは(その1)鋼材の性質(耐摩耗性)

 金型用の鋼材には、いろいろな性質が求められます。まず、その内容を理解しておきましょう。

(1)耐摩耗性

 JISでは、摩耗を「相対運動する金属面の機械的引っかき、金属的粘着などが総合されて、その面が損耗する現象」と表現しています。耐摩耗性とは、このような現象が起きにくい性質といえます。

(2)耐摩耗性に影響する要因

(1)硬さの影響

 耐摩耗性に影響を与える大きな要因に「硬さ」があります。一般に、硬いほど耐摩耗性は大きくなります。ロックウエル硬さで40HRCあたりを境に大きく変化しています。40HRC以下では摩耗量は大きく、以上では摩耗が少ないのです。しかし、焼き入れして硬ければよいというものではなく、硬さと同時に鋼材の内部に残留応力が少ない方がよいのです。焼き入れ、焼き戻しをセットで行うのはこのためです。

(2)成分の影響

 鋼材の主要な成分は炭素(C)です。炭素量が多いと焼きが入りやすくなります。炭素量が0.6%をこえると、焼き入れ硬さはほぼ一定になります。硬さが一定になれば耐摩耗性はそこで安定してしまうか、というとそうではなく炭素量が多いほど耐摩耗性は向上します。さらに、W、Cr、V、Moなどの元素が添加されると耐摩耗性は向上します。
 これらの成分は炭素工具鋼(SK)、特殊工具鋼(SKS)及びダイス鋼(SKD)の順に添加量が多くなっています。JIS規格等で成分を見比べてみて下さい。その違いが分かると思います。

(3)組織の影響

 鋼材は、焼き入れすると鉄(Fe)と炭素(C)が結合して、マルテンサイトに変化します。このマルテンサイトが耐摩耗性には有効なのです。しかし、高炭素鋼や高合金工具鋼(SKD等)などでは、焼き入れ、焼き戻しでマルテンサイトに全てが変化するわけではなく、20〜30%の部分が残留オーステナイトとなっています。この残留オーステナイトが摩耗にはよくないのです。
 残留オーステナイトをマルテンサイトに変える方法に、サブゼロ処理があります。サブゼロ処理は、鋼材を−60〜−80℃くらいまで冷やすことで、残留オーステナイトをマルテンサイトに変えるのです。



Mold EX-Press【モールド・エキスプレス】

このサイトは、株式会社ミスミが運営・管理しています。

当サイト上のコンテンツの著作権は株式会社ミスミに帰属します。
無断利用・転載を発見した場合は、法的措置を取らせていただくことがあります。

ミスミのeカタログ

メカニカル部品 | ねじ・ボルト・座金・ナット | 工業用素材 | 配線部品 | 制御部品・PC部品
切削工具 | 生産加工用品 | 梱包・物流保管用品 | 安全保護・環境衛生・オフィス用品 | 研究開発・クリーンルーム用品
プレス金型部品 | プラ型用部品

ご利用にあたって  会社概要

ページトップに戻る