エンジニアのための技術講座

プレス金型講座

掲載日:2003年12月02日

カテゴリ : 金型材料

第162回 金型用鋼材のいろは(その9)金型主要部品の材質(1)

 中、小形の金型の主要部品に使われる金型材質について説明します。
 金型の構造にはいくつかの種類がありますが、よく使われている可動ストリッパ構造を例に説明します。【図1】に示した金型のプレート構成は、可動ストリッパ構造の最大構成を示しています。

図1

(1)ホルダ SS400、S50C(S55C)、FC250、SKS3、A7075

 パンチ、ダイホルダは、金型をプレス機械に取り付ける部分であると同時に、金型の剛性をサポートしたり、金型の高さ調整やスプリングなどの組込スペースとしての役割もあります。
 一般的にはSS400またはS50Cです。両者に大きな違いはありません。鋳鉄はFC250が使われます。鋳物ダイセットを使ったときの材質です。多量生産などを目的として、高剛性を求めるときにはSKS3を熱処理(56HRC程度)して使用することがあります。軽量化を求めるときには、アルミニウム合金のA7075を使うこともあります。

(2)バッキングプレート SK3、SK5、SKS3、S50C

 金型の中でバッキングプレートは3箇所に使われます。小径のパンチ等の部品が加工力によってホルダにめり込んでいくのを防ぐバックアップ目的で使用します。その他に、部品の脱落防止(ストリッパバッキングプレート)および高さ調整の目的で使用します。
 バックアップ目的ではSK材を熱処理(56HRC程度)して使用します。SKS材の使用は高剛性を求めるときです。S50Cのように熱処理をしないで使用する材料は、受圧面積の大きなパンチ等部品のバックアップや脱落防止や高さ調整を目的としたときに使用します。

(3)パンチプレート SS400、S50C(S55C)、SKS3、SKD11、プリハードンド鋼

 パンチプレートは小さなパンチを保持する目的で使用します。通常は、熱処理をしないSS400、S50Cなどを使用します。多量生産をする金型では、ある程度の硬さを持っているプリハードン鋼や、熱処理をしたSKS3またはSKD11を使用することもあります。SK材が使われることは少ないです。SKS3に対して加工誤差が気になるときにはSKD11が使われることもあります。ワイヤカット特性からの判断です。

(4)ストリッパプレート S50C、プリハードン鋼、SKS3、SKD11

 ストリッパはかす取りが主機能ですが、材料押さえやパンチ先端をガイドする(パンチガイド)などの二次機能も、重要な役割として持たせることも多くなっています。
 少量生産でかす取りを主体としたときには、S50Cやプリハードン鋼など熱処理の必要のない材料が使われます。熱処理をしない材料で、材料押さえやパンチガイド機能を持たせることがありますが、ミスパンチを起こしたときにはプレートが変形してしまうことがあります。パンチガイドや材料押さえを付加するときには、SKS3、SKD11といった材料を熱処理して使用します。

(5)ダイプレート SK材、SKS3、SKD11

 少量生産の金型では、SK材やSKS3が使われます。標準的にはSKD11です。ワイヤーカット放電加工での金型作りが主流になって、この傾向が定着しました。

(6)入れ子式プレート(【図2】参照)

 以上説明した内容は、1体式プレートをイメージしています。金型には、入れ子式(インサートタイプ)のプレートも多く使われます。用途は、ストリッパプレートやダイプレートに多く使われます。本体プレートは、少量生産ではS50Cなどの材料を熱処理しないで使うことがあります。中量以上では、SKS3、SKD11などの材料を熱処理して使用します。
 入れ子用の材料は、SKD11、SKH51、粉末ハイス鋼および超硬合金などが使われます。メンテナンスのしやすさ、精度および寿命から使い分けます。

図2

(7)パンチ

 パンチ材質は、SKS3、SKD11、SKH51および粉末ハイス、超硬合金などが使われます。
 SKD11が標準です。少量生産にはSKS3が使われることもあります。SKH51は形状が小さいときや、じん性を必要とするときに使用します。粉末ハイス、超硬合金は耐摩耗性や生産量が多いときに使用します。



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